資格があっても働けない!?【介護・看護編】
資格があっても働かないのはなぜ?【介護・看護編】
医療・福祉の現場では
深刻な人材不足が続いています。
看護職では2011年度
56,000人の不足といわれています
(厚生労働省発表※1)。
そんな中、注目されているのが
資格を持ちながらも現在、
仕事から離れている潜在層の存在です。
これらの層を対象に調査を実施し
彼らの特徴と本音を探りました。
その結果から、彼らを確保し、
戦力として活用する方法を考えてみました。
調査概要
調査名:有資格者調査
・調査期間:2011年9月9日~12日
・調査方法:インターネットリサーチ
・調査対象:全国の20~40歳の男女で
過去に以下資格職に就業経験のある人のうち
現在は該当資格職に就業していない人
・調査対象資格:
【介護職】介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護福祉士(ケアワーカー)
社会福祉士(ソーシャルワーカー)、
訪問介護員(ホームヘルパー)
【看護職】看護師、准看護師
・サンプル数:498名
![main1.jpg main1.jpg](https://j-adcustom.com/data/media/20230427/posts/1607/main1.jpg)
介護・看護職における潜在的有資格者の属性は半数近くが、小学生以下の「子育てママ」!?
介護・看護職に関わる有資格者のうち
過去に資格を生かして働いた経験があるものの
現在はその仕事から離れている人を
対象に調査を実施しました。
その結果、介護・看護の有資格者で
現在働いていない潜在的有資格者について
その約8~9割
(元介護職の82%、元看護職の95%)が
女性であり、かつ約半数が
「5歳以下」の子どもを抱えている
「子育てママ」であることがわかりました。
![main2.jpg main2.jpg](https://j-adcustom.com/data/media/20230427/posts/1607/main2.jpg)
元介護職・元看護職の人が資格がありながら再就職しない理由は!?
こうした元介護職・元看護職の人が
資格を持ちながら、
なぜ再就職していないのでしょうか?
理由として圧倒的に多かったのが
「家事や育児と両立できないから」。
その後に「精神的に疲れる仕事だから」
「体力的に疲れる仕事だから」
といった理由が続いています。
介護・看護職は、夜勤がある職場が多いです。
また、どちらも人の命に関わる仕事であるため
やりがいはあるものの
精神的にも体力的にもかなりハードな仕事です。
それだけに、家事や育児との両立は
なおさら難しいのかもしれないですね。
![main3.jpg main3.jpg](https://j-adcustom.com/data/media/20230427/posts/1607/main3.jpg)
「子育てママ」たちの就業意欲はかなり高い!?
では、介護・看護職の資格を持ちつつも
現場を離れている「子育てママ」たちは
再就職についてどう考えているのでしょうか?
彼女たちは、
できれば再就職したいと思っています。
そのことを実証しているデータ
グラフ3をご覧ください。
5歳以下の子どもを持つ「子育てママ」に
再就職の意向を聞いたところ
介護・看護職ともに「時機を見て
そのうち持っている資格に
関係する仕事に就きたい」
と考えている人が最も多く
(元介護45%、元看護57%)
次いで「条件が合えば
すぐにでも持っている資格に
関係する仕事に就きたい」が多いです。
(介護19%、看護20%)。
子育てに専念していたいと考える人よりも
「時機を見て」「条件が合えば、すぐにでも」
働きたいと考えている人が多いようです。
とはいえ、やはり家事・育児と仕事を
両立させることは厳しいです。
例えば、保育園や幼稚園へ通っている間は
子どもの送迎をしなければならないし
子どもに急な発熱や
ケガといった突発的なことがあれば
早退や休暇を取る必要も出てきます。
小学校へ上がれば
「子育ても一段落」と思いきや
決してそうではありません。
学校のイベントやPTA活動
場合によっては突然の学校からの呼び出しに
応じなければならないこともある。
このように、自分では
どうしようもない様々なことが、
子育て中には起こります。
そのため、いくら就業意欲はあっても
両立が難しく実際には
仕事を控えている状況にあります。
では、今は就業せず
子育てに専念している彼女たちを今
もしくは今後、確保するには
どうすればいいのでしょうか?
やはり彼女たちが懸念している
「家事・育児と仕事を両立できる」
職場環境を用意すること重要です。
![main4.jpg main4.jpg](https://j-adcustom.com/data/media/20230427/posts/1607/main4.jpg)
両立の希望勤務条件は!?
子育てと両立しながら働ける条件として
どんなことを彼女たちは
望んでいるのでしょか?
調査では、次のような傾向が出ました。
まずは勤務日数です。
介護職、看護職ともに、
希望する1週あたりの勤務日数は
週3~4日となりました。
ちなみに彼女たちが
以前勤務していた当時の状況で
最も多かったのは、週5日勤務である。
以前のようにフルで働くのではなく
できれば勤務日数を
減らしたいという意向があるようです。
また、一日あたりの勤務時間に関しては
看護職が3~5時間
介護職が5~8時間を希望する人が多かった。
勤務時間についても
過去の就業時より
2~3時間短い勤務を希望しています。
こうした短時間労働を意識するためか
雇用形態も正社員よりアルバイト・パートを
求める人が多くなっている。
過去に勤務していた当時の雇用形態を見ると
正社員であったという人が介護・看護職ともに
60~70%を占めているが
今後については、
介護職ではアルバイト・パートを
希望する人が45%、
正社員を希望する46%とほぼ同率。
看護職にいたっては
アルバイト・パートを希望する人が68%と
正社員を希望する人を上回る結果となった。
![main5.jpg main5.jpg](https://j-adcustom.com/data/media/20230427/posts/1607/main5.jpg)
人材確保の対策
介護・看護職の人材確保に
苦心している職場では
これらの潜在的有資格者に注目し
「繁忙時間のみ3~4時間程度」
「週3日でOK」
といったパート雇用を促進したり
育児との両立を可能にするため
独自のシフト体制を整えるなどの
改善を検討してみてはいかがだろうか。
フォロー体制が整っていることがわかれば
潜在的な介護・看護職の
「子育てママ」はもちろん
これから子どもを持つ可能性のある
若い女性層からも支持を集め
優れた人材の確保につながるだろう。
![main6.jpg main6.jpg](https://j-adcustom.com/data/media/20230427/posts/1607/main6.jpg)
今後の見込まれる介護職・看護職不足
2008年時点で介護職は全国で約128万人だが
団塊世代が全員75歳以上になる2025年には
介護職は約212~255万人と
2008年時点の1.5~2倍近く必要に
なると言われている(※2)。
また看護職は、2025年には
約191万8,000人~199万7,000人が
必要になると想定されているが
供給見込みは約179万8,000人と
約12万~20万人も
不足することになりそうだ(※1)。
このような状況下だからこそ
子育てをしながらも就業意欲のある有資格者は
貴重な労働力であり
活用することは避けられない。
慢性的な人材不足を解消するためにも
まずは介護・看護職のママのための
「子育てに優しい雇用条件の見直し」が望まれる。
![main7.jpg main7.jpg](https://j-adcustom.com/data/media/20230427/posts/1607/main7.jpg)